[コメント] ノーカントリー(2007/米)
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自分でもよく耐えられたなと思うぐらい、2時間緊迫しっぱなし。怖い、本当怖かった。そしてものすごく面白かった。大体物語の主軸がはっきりしないもんだから、見ている間中非常に不安定さを感じたし、しかもコーエンファミリーが今回ほぼ顔を見せないってのも私にとっては不気味な不安要素になっていました。それでもブレる事なくしっかり最後まで見せきる事が出来たのは、それらが頑丈な土台の上にあったからこそだと思います。本当に巧いなぁコーエン兄弟は。
でも今作は私の好きなコーエンらしさがありませんでした。コーエン兄弟に何かが起こったとしか思えない。彼らはスリリングな中にユーモアや愛を織り交ぜる。悲劇の中にも笑いを見出し、だから人生楽しいと思わせてくれたりする。本当に人間が大好きなんだろうなって思える作品が沢山ある。でも今回は正直なところ、よー分からんかった。その最たる人物はシガーな訳ですが、あるかどうかも不明だけど、彼の中の理屈が全く分からん。まぁ平気で沢山の人間を殺していく。しかも生々しく執拗な描写で彼の残虐さを表現する。ところが殺されたかどうか分からない人物も多く出てくる。しかもそういう人物に限って、殺されてそうだとも思えるし、もしかしたら殺されなかったかも…なんていう仄かな期待を抱かせてしまうような人物ばかりだったんです。そこをどう捉えるかによってシガーという人物の輪郭が変わってくると思うんですが、私はもうどうにも分からなかった。殺していないと思いたい。でもあいつが殺さない訳がない。でも彼も人間なんだから…。結局最後まで答えを出す事が出来ず、今も出せていません。だから本当分からない。この映画が分からない。面白かったけど、分からない。人間不信に陥りそうだ。なんだか嫌になった。コーエンは人間が嫌いになってしまったのかな?
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08.10.10 記
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