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[コメント] 映画ドラえもん のび太と緑の巨人伝(2008/日)

なんてことも無いような一ヶ所の台詞で全体の印象が決まることもあるよ。
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**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







のび太「いってきまーす!」

ママ「自動車に気を付けるのよ」

普通あまり気に留めるような台詞では無いのかもしれないけれど、わたしにとっては「やっぱり分かってると言うか、親と同じ目線なんだなぁ」と実感出来た重要な台詞だった。「いってきます」に「いってらっしゃい」では無く、わざわざ「自動車に気を付けるのよ」という台詞を選んだ人と握手したい気分で思わず微笑んでしまう。実際、わたし自身が毎朝子供を送り出す時に、「いってらっしゃい」に加えて「車に気を付けなさいよ」と口を酸っぱくして言い続けているのは(通学路の一部に危なっかしい箇所があるからというのもあるんだけれど)、もしも子供に何かあったらと思うと怖くて仕方が無いから。その恐怖心は、当然自分の子供たちを想う気持ちから生まれてくる。この朝の気持ちはちょっと上手く表現できない。とにかくこの台詞は自分にとって重要な台詞だった。

新しいドラえもんになってから感じていた事だけれど、のび太のママは結構変化している。いつもガミガミ言っているだけの様なイメージだった昔よりも、今の方がずっと親近感が持てる。と言うか、全体的に昔より今の方がより自分の感情に近いものを感じる。単に自分が親になったせいなのかもしれないけれど。

緑を守ることは子供を守ることでもあり、子供を守ることは緑を守ることでもある。親にしてみればそういうことだ。キー坊が小さな女の子と水遊びをしたシーンと、そこで強調される赤いジョウロなんかは、上手いなぁと思った。

難点は、小学校低学年くらいだと、ストーリーが完全に理解しにくいという点。「内なる〜」とか「宇宙は愛に満ちている」を受け止められるかなぁ。

映画って、作る側に伝えたい事があってその気持ちをぶつけて作れば、結構観客には分かってしまうもので、すんなり受け入れられる。観る側にも元々似たような価値観や気持ちがあれば自ずと自分の心と共鳴するものだし。商業的な面は今のご時世仕方の無いことだろうと割り切ってしまっているけれど(まぁ色々あるだろうさ)、でも、すごく良い映画だったよ。子供たちは「なーんか、ジブリみたいでサイアクー」とかまず言わないし、ジブリでこういった類の共感をする事は無いし。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)平敦司

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