コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 大いなる陰謀(2007/米)

レッドフォードの主張のようでもあるが、寧ろ皮肉のようにも観える。☆3.9点。
死ぬまでシネマ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







「アメリカの良心」と揶揄される事は最初から覚悟しているのだろう。

たいへいさんが述べているようにここには「軍需産業というキャスト」が不在だ。そこを真正面から扱ったマイケル=ムーアは「偏向映画」とけちょんけちょんに言われてたな。レッドフォードは当然軍産複合体の事は承知だろうが、今回は(今回も)「陰謀」よりも合州国民の心の中を描きたかったのだろう。

シーチキンさんが指摘する通り、この映画は合州国民が超えられない壁は何か、という事を描こうとしているのだろう。結局防げなかった「新たな死」として扱われる2人の「優秀な学生」だが、彼らは援軍の空爆寸前に「立つ」事を決意して敵の的となって死んでいる。これは志願した事の反復表現だろう。詰まり彼らもただ残りの2つの舞台、即ち「議員とジャーナリスト」と「ダラ官教授とノンポリ学生」の材料としてある訳ではなく、彼ら自身が合州国民の一つの行動を暗示している。

私はこの映画を「<軍隊>のある国の国民とは」「世界中に派兵する国の国民とは」という視点で日本人と対照化して観ていた。ベトナム戦を経験した世代とそれを目撃(報道)した世代、のリベラリストの成れの果て、の2人。トム=クルーズが演じた共和党議員が日本の感覚とかけ離れているのは当然としても、レッドフォード教授とストリープ女史の感覚もまた日本人とは違う。そしてまた、現在の学生が彼らと深く隔絶してしまっている、という事は日本と変わらないのだとも知った。(学生の選択肢は教授が示した中にしかないのだろうか?)

レッドフォードが合州国民の各世代(各層)それぞれに投げた問い掛け、という点では確かに大いなるアジテーション(政治的煽情)と言えるだろうが、監督自身の見解が那辺にあるのか大いに気になる所である。

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (1 人)代参の男[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。