[コメント] 赤ん坊の食事(1895/仏)
私が見たことのあるリュミエール作品はおそらく二十本にも満たないが、その中で云えば、これは『工場の出口』『列車の到着』『雪合戦』に次ぐ最良の部類の作品。赤ん坊を中心に三人が等間隔に横に並び、背景には斜めに走る建物の線とそよぐ木々。完璧な構図だ。
私は何も資料的価値や歴史的意義といった側面からリュミエールを評価するのではありません。極端に云えば、いかなる映画を前にしたときでも「今現在見て面白いかどうか」が私の持ちうる視点のすべてです。それはその作品を歴史的に位置づけるための知識も能力も私が持っていないからであり、また「映画を見る」ことは常に現在進行形の連続的瞬間的体験だと思っているからなのですが、いずれにせよ『赤ちゃんの食事』より完璧な画面を持った映画、『工場の出口』より面白い映画というのは、「現代映画」の中にもそうそうないのではないでしょうか。
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