[コメント] タクシデルミア ある剥製師の遺言(2006/ハンガリー=豪=仏)
単なる悪趣味ではなくテーマとしての必然。人間を至ってシンプルに切り取った物語。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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父子3代に渡る物語だが、家族や血、土地といったテーマを扱うことの多い通常の大河ドラマと大きく異なるのは、その主眼が「人間の本質」を描いていることにある。
祖父は性欲。父は食欲。そして息子は、欲望を全て取り除いた人間の姿をこの世に残そうとする。 欲望を生む頭、欲望を実行する片手を削ぎ落とし、完璧な人間の理想像とも言える形を残すのだ。 直前に依頼された剥製が“無垢”な胎児というのも象徴的。
さらに言えば、父の体型が典型的な例だが、欲望は人間の姿形までも変えてしまう。 (祖父の場合は、欲望を果たした結果として頭をぶち抜かれる。) だが息子はどうだ。永遠に変形しない身体を残すのだ。
どうもグロテスクな描写ばかりに眼がいってしまうようだが (サンダンスで賞を獲ったにも関わらずNHKが放映権を放棄したそうだ)、 凝った映像も魅力的で、グロテスクに思える描写も、その本質が読み解ければ単なる悪趣味のために存在しているわけではないことが分かるだろう。
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