[コメント] 山桜(2008/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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冒頭の「手折ってしんぜよう」のシーンからやられた。長身の東山と小柄な田中麗奈だからいいんだよね。これが小雪だったらこうならないわけだ。
しかし、なぜ守銭奴のロクデナシのところに嫁いだのかという疑問はいまいち解消されない。暴れる武士の話を聞いて「務まらないと思った。」なんて説得力に欠けるんだよな。あんな色男をなぜフるのよ(笑)
母親が「その枝は切ってしまいなさい。」みたいなことをキツい調子で言うけど、「もしかしてこの母親があの男との結婚を推したのではないか?」と邪推してしまうほど最初から最後まで冷たい印象だったのは、富司純子を際立たせたかったからだろうか。ラストで一緒にちまきを作る姿など本当の親子みたいではないか。
まあ江戸時代に"出戻り"は不名誉なことであり、壇ふみは封建時代の母親像そのものなのだろうけど、いつの時代も実家というのは出戻ったとしても暖かく迎え入れてくれる場所であって欲しいものだ。
刀の背の部分("棟"というらしい)やら柄の部分まで使って相手を斬らずにぶっ叩いていたが、刀にはそんな使い方もあるのかと勉強になった。斬るだけが能ではないのだ。刀の向きをくるりと元に戻して敵に向かうのがまた格好いいんだよなあ。遠山の金さんみたいに桜吹雪の刺青を見せて啖呵切ったらもっとよい。というのは冗談だけど、東山紀之の殺陣はとにかくよかった。この人の時代劇を見るのは初めてであまり期待していなかったが、完全にいい意味で期待を裏切られた。調べるとどうやら時代劇に関しては映画以外のフィールド(舞台やテレビ)で20年のキャリアがあるとか。どうりでハマっていたわけだ。
しかし一青窈の語りはあまりにも余計だった。暗転して突如として語り出した時には「お前は何様だよ!」とツッコミたくなった。
ところでこの前の「美の壷」で知ったのだが、野江の帯の締め方は武家女性の帯でよく見られる"文庫結び"と言うらしい。
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