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[コメント] 断崖(1941/米)

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chokobo

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







当時この映画と同じ年で有名な作品というと『市民ケーン』とか『わが谷は緑なりき』とか、アニメでカラーの『ダンボ』などが並んでいました。

日本映画では山本嘉次郎監督の『』という作品が公開されていて、これは黒澤明監督が助監督だったころの作品ですね。高峰秀子さんと黒澤明監督が噂になった時期でもあるわけです。

そんな時代背景の中で、この作品を拝見しますと、実に普遍的です。

今にも通じるような作品。

こういう詐欺師まがいの人物って、いつの時代にも存在するんですよね。

有名なところだと『殺人狂時代』、そして最近だと『クヒオ大佐』。

いずれも詐欺っぽいお話でありながら、その奥行きを感じる映画なわけですが、私的にはこの『断崖』に出てくるケーリー・グラント扮する怪しげな二枚目役はどうにも投影できなくて困ります。

というのは、古い友人に似たような男がいるんですよ。

彼は今も独身を貫いていますが、本人のプライドから生まれる美意識に女性がどうしてか吸い寄せられてしまう。プレイボーイなんですね。

疑いが生まれる。しかしその本心は全くわからない。

そんな存在に大変苦慮していまして、この映画を見ていてそんな友人を思い起こしました。

ヒッチコックの作品としては、やや消化不良気味ではありますが、ラストの緊張感ある映像など、映画としての存在感は十分堪能できるつくりになっています。

多作で知られるヒッチコックですので、あらゆる可能性がこの映画に見出すことができますね。

もっと晩年になると、身近な私生活の中で生まれる疑惑やサスペンス、そして恐怖が表現されるようになります。

ブルジョアジーをベースとしたサスペンスは彼の最も得意とする分野ですね。

お見事でした。

2010/08/06 自宅

(評価:★4)

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