映画館でにやつく事はあっても、声を上げた笑うという体験はあまりしていなかったのだが、本作については何度か笑わせてもらった。その瞬間を他の観客と共有できたというだけでも本作の存在意義は十分に立証されたと思う。

しかしながら、ラストシーンは大層がっかりした。その筋には名が轟いている殺し屋が、特効を見せ付けられて逃げるというのは、逸脱してよい範囲を軽くオーバーしているのではないか。なんだかんだありつつ、「撮影現場」と「マフィア」というそれぞれの世界を 共通に表現する手法は上手くいっていたと思う。にもかかわらず、ラストのラストでそれを完全に放棄した。がっかりである。

画竜点睛を欠くの典型。喜劇を名作にするのは難題である。

(2008.06.26 TOHOシネマズららぽーと横浜)