それにしてもエド・ウッドはさすが史上最低といわれるだけあっていい加減な監督である。フィルムのつなぎは無茶苦茶だし照明もいい加減。場当たり的なストーリー展開と三文台詞に大根役者とくれば、よく映画を撮らせてもらえたなというのが素直な感想だが、それもまた詐欺まがいの売り込みのたまもの。もうこれには笑うしかない。彼に迷惑を被った人物は数知れないであろうと推測されるが、ティム・バートンの手に掛かるととても愛らしい人物である。きっとバートン自身もエド・ウッドの作品よりもそのような作品を作った本人に対する愛着の方が強かったのだろう。類は友を呼ぶというかエドの周りにあつまる実に個性的な人々も楽しませてくれる。ジョニー・デップの演技も素晴らしい。美しいルックスは言うまでもないが、エドがいかに自分の作品・能力に酔いしれていたか、爛漫とした目の演技によって非常に上手く表現されている。ティム・バートンのオタク振りは忠実なエド・ウッドの映画の再現にも現れている。エド・ウッドを通してティム・バートンの映画に対する深い愛情が伝わってきた。