[コメント] リボルバー(2005/英=仏)
revolve=「あれこれ熟考する/何かを軸に事が展開する」。「騙し」という名の回転式拳銃によるロシアン・ルーレット。攻守どころか主客も転倒する思考迷路。フラッシュ・バック/フォワードの多用、観客に「熟考」の暇を与えぬ編集による、イメージの撹乱。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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例えばデヴィッド・リンチの場合その不条理性は確信犯的なものであり、何か、腰の据わった訳の分からなさ、とでもいったものが感じられるが、この映画の場合、作り手側が虚々実々の知能戦を考えに考えた末に、自らの意思に関りなく突入してしまったような不条理性が感じられ、その緊迫感がスリリングであると同時にちょっと笑える。
「最大の騙しを仕掛けていたのは、主人公自身」という、究極であると共に、それをやったら何でもありだろう、と呆れてしまう面もある展開。しかもその構図が主人公の敵にまで適用されてしまうという、更なる倒錯。彼が頭を撃ってゲーム終了、という終幕は、脚本を熟考(revolve)しすぎて収拾がつかなくなった末に強引に幕を下ろしたような印象で、考えすぎてバカになったようなその様がまた面白い。
この、上手くいったのかいっていないのかよく分からない小難しさも、エンドロール代わりの暗闇の中に流れるエリック・サティの、いかにも謎めいた神秘的な雰囲気を便利に醸し出そうとして使用しているような在りようも、皮相な印象は拭えないが、映像のスタイリッシュさや、個々のキャラクターの個性的な存在感など、表層的な部分が充実しているので、一つの娯楽作としてこれもありだと思えてくる。
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