この作品を日本に紹介した町山智浩の解説を聞いてから見てみた。たしかに、監督の意気込みは伝わるし、映像表現やテンポもいい。随所に挟まれるギャグも笑える。しかし、よく出来たテレビドラマ程度でしか魅力がない（テレビドラマがこれくらい面白ければ十分だけど）。

似たタイプの映画オタク監督としてはタランティーノを思い浮かべるが（実際二人は仲が良いらしい）、タランティーノの初期作品にあって、この作品に無いモノ、それは「緊張感」かと思う。タランティーノ作品は、どこかで見たようなシーンを引用していても、サスペンスとしての迫力をきちんと備えていて、作品自体の緊張感をきちんと演出できていたが、本作はパロディ作品にありがちな「予定調和」や「既視感」に覆われていて、「警察ドラマのお約束」は楽しめても、作品自体にはのめり込めない。

また、ところどころに使われるグロ表現が悪趣味で余計に感じられる（悪趣味はイギリスコメディの伝統？）。「過度のスプラッター＝バカ」みたいにやるには、バカ要素が不足してるし中途半端。

監督のやりたい放題要素を詰め込み過ぎていて、見てるこっちはおいてけぼりを食らってしまう。