[コメント] パラダイン夫人の恋(1947/米)
やはりセルズニックが手綱を握っていたのか、作家の病的な側面は後景に退き、リー・ガームスの端正な画調が際立つ。美術もよい。法廷。天井まで設えた住宅。映画史上の二大チャールズ、ロートン&コバーンの共演作としても価値が高い(チャップリンとブロンソンを加えて四大チャールズとする説もある)。
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映画を見終った人むけのレビューです。
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ルイ・ジュールダンの自殺の報を受け、アリダ・ヴァリは「お前が殺したンだ!」とグレゴリー・ペックを詰る。そう云われても仕方がないだろう。俳優ペックが持つ「視野の狭さ」の印象を活かして造型されたこの弁護士を使って、ヒッチコックは「法廷での尋問で自殺に追い込む」という新しい「殺人」の形を描いている。しかしペックの悔いはもっぱらヴァリの心を得られなかったことに向けられており、殺人者としての自覚は希薄なようだ。しばしば指摘されるところのヒッチコック的アモラリティの表出の一例かもしれない。ラストカットでペックが浮かべる曖昧な笑顔や作劇上のチャールズ・ロートンの振舞いも、映画が特定の解釈に縛られてしまうことを拒んでいる。
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