[コメント] パコと魔法の絵本(2008/日)
沈みゆくパコに、すがっていこうとするガマ王子の構図の美しさ、かっこよさ。ほんの数秒しか写らない、最終盤のその一シーンが作り出す映像力・センスに、この監督の才能のすさまじさを感じました。
実はあとから見た舞台に、構成もせりふもほぼ忠実なのに、心底びっくりしました。あまりに荒唐無稽に見えた映画構成要素が、緻密で完全主義のこの監督にしては、ちょっと荒いお話作りで、「松子」後で、内容的にも少し気楽に作ったのかなぁ、なんて思ってました。舞台が原作とは知ってましたが、好き勝手に作り替え、極彩色の映像で彩った、大胆な「中島ワールド」なんだと。でもでも、脚本も構成もせりふも、なんと舞台のまんま。びっくりするほどそのまんま。 実際、舞台からの映画化は、その「魂」を奪い取って輝きを失う作品しか、これまで見た事ありません。でもここでは、構成もせりふもそのままなのに、むしろその作品の本質を際だたせて、むしろ神々しく光り輝かせて見せています。 これは尋常な事ではありません。改めてこの監督の才能に驚嘆したところです。
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