[コメント] 12人の怒れる男(2007/露)
ロシア男の過剰なセンチメンタリズム。
エンターテイメントより政治性を志向した映画・・・なのだが、私がつよおく印象づけられたのは、この12人の男たちの、なんてセンチメンタルなこと。
ヘンリー・フォンダの前作とはちがって、男たちが戦うのは、パリパリの正義をもってではなく、ベタベタの感情ゆえである。理屈で有罪を無罪にした前作と比べて、こちらは理屈には興味がないみたい。真犯人の推理なんか、えーそれでホントにいいの?って突っ込みたいくらい、説得力に乏しいったら。こちらの男たちが興味があるのは、どれだけ重い人生と重い感情で周囲をぶちのめすことにあるみたい。
決して若くはない男たちの、ひとりひとりの叫びと涙にまみれた告白は、ゲップが出るほど脂っこい。前作は夏の蒸し暑さが印象的だったが、こちらは凍える冬。これが冬でなく夏だったら、男たちの暑苦しいセンチメンタリズム(と体臭)に耐えられないくらいだな。
ただ、これがロシアなんだろうな、と腑に落ちる。ひとりひとりの俳優たちの皺に刻まれた説得力の力業で、なんか納得させられてしまった。
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