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[コメント] ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ(2008/日)

戦闘美少女と、彼女の後ろで怯えているだけなのになぜか必要とされるヘタレな男、という、一つの典型的な物語形式。関めぐみのツンデレぶりと、内在するテーマ性などは評価したいが、時にケレン味を見せる戦闘シーンもどこか日常に埋没気味。
煽尼采

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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「典型的な物語形式」と言うのは、『灼眼のシャナ』とか『ローゼンメイデン』とか『最終兵器彼女』などのそれであり、この、萌えアニメ・マンガ的物語を実写でヌケヌケとやってのけている事と、その虚構性を画として随所に表現している正直さがこの映画の美点ではある。だが戦闘シーンの中途半端さは、もっと恥ずかしげもなくカッコつけろよと言いたくなる。

謎の怪人が手にしているチェーンソーのチェーンの回転は、そのエンジン音も含めて、バイクのチェーンの回転、バイクで事故って死んだ能登の記憶と結びつく。怪人との闘いは、絵理のトラウマとの闘いであるのと同時に、山本のコンプレックスの克服でもある訳だ。最後、怪人のチェーンソーの刃を受けた絵理が、山本のプレゼントした鎖帷子によって助かるのも、鎖(チェーン)との闘いに二人が勝った事の証しだろう。

とは言え、本来はダラダラとした日常との隔絶である筈の戦闘シーンそのものがルーチンワーク的に見えてしまう冗長さは、演出的に敢えて仕組んだ事なのだろうか。プールでの闘いの、高い飛び込み台からの跳躍や、水中に突き刺さる無数のナイフ、或いは夜の遊園地での、イルミネーションの動的な空間性、時代劇のセットでの、闘いのB級映画的な虚構性や、怪人の背後の柳に当たる照明の具合など、所々魅せてはくれるが、全体的にはどこかスカスカした甘さが感じられる演出。

(評価:★2)

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