[コメント] その土曜日、7時58分(2007/米=英)
映画を見終った人むけのレビューです。
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最近思うことがこれだ。
生きることというのがこれほど大変なことと思えます。
自らの生活だけでなく、親や子供、親戚、会社、いろいろなとことで色々な事情が起こる。それに応じて自らの生活を切り詰めたり、付け足したりする。そんな生活そのものをこの映画では逆説的に露出しようとしているようです。
それは『バベル』における一丁の銃のようなめぐり合わせ。輪廻であり、血は争えない運命にあるということなのかもしれません。
自分でも思うことがあるんですが、親や親戚の自分の理想系と反発する人との関係。親にしてもそうですが、自分は父親のようにはならない、と決意しながら、いつの間にか親と同じ運命をたどっているときがあります。これはもう運命であり、否定できないもののようにも思えます。
この悲惨な物語はいったい誰のためのものなのでしょうか。
自分の生活に苦しむ兄と弟が、強盗を企み、人を介して押し入った店の老婆が自分の母親で、そのことを父親が気づくのだが、実は父親も宝石泥棒だったということが知らされる。
最後は父親が息子を殺して顛末となるのだが、一度陥った不幸のスパイラルからはなかなか抜け出せない。そんな事実を伝えようとしています。
この悲劇を何に生かせばよいというのでしょう。生きるために他人を殺すことが必要なのでしょうか。人を殺すために子供を育てるというのでしょうか。
シドニー・ルメットものとしては久々の大作となってますね。『12人の怒れる男』のデビュー以来、ずっと社会派を通してきているものの、その後ずっと社会そのものと逸脱したような映画を作ってきた人ですね。
長年愚作を撮って来たベテラン監督として、晩年になって全力を尽くした作品となりました。
アルバート・フィニーも素晴らしい演技でしたね。
2009/10/4
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