[コメント] まぼろしの邪馬台国(2008/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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吉永さんはすごい方ですね。
美人だとか、演技が上手とかではなくて、その存在と映画に対する愛情の濃さ強さがすごいということです。本当にすごい。
当代きっての監督と組んで自分の意志を極力殺し、女優に徹する姿勢が素晴らしいですね。
今、女優という立場だけで客を呼べる唯一無比の女優だと思います。
それと、この映画でとても不思議な現実を覚えたことは、地方財政のあり方、あるいは地方自治の存在感ですね。これはかなり現実のこととして認識できます。
島原鉄道の社長だった主人公が、大雨などの大災害をきっかけに社長の座を奪われますね。そして次期社長となるのが、実は銀行から来た人(石橋蓮司)です。主人公(竹中直人)の宮崎康平曰く「東京から来た田舎モンじゃ!」と言っていましたが、つまり東京の銀行か官僚が地方銀行に異動となって、そのまま島原鉄道の社長に居座ったという現実。そして銀行の頭取は自費で主人公の生活苦を支えようとしています。
この矛盾!
つまり、この時代からすでに官僚の天下りはとっくに始まっていて、地方銀行はおろか、地方を代表するような鉄道会社までも食いつぶそうとする、この仕組みが見事に描かれていて面白かったですね。
個人的には地方を活性化させるには、やはり勢いのあるリーダーが市民に支持されて社会奉仕につながるような商売を推し進めることが望まれます。
しかし、当時の現実からも、中央政府が表に見えないような形で、地方自治に踏み込んできていることが伺われます。
今の時代だからこそ、理解を深める必要があるポイントだったように思いました。
2009/8/13
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