[コメント] 誰も守ってくれない(2008/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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前半の矢継ぎ早な加害者家族への対応(離婚手続きによる改姓など)は興味を引かれたが、後半はネットでの中傷誹謗の怖さを描くようになり、その為犯人の家族との描写に乖離が出てきて焦点がぼけてしまった。
気になった点が2点。意図したのかどうか分からないが、終盤ホテルでネット住人が突然多数殴り込んで来て襲って来るシーン。あれは何ともいえない怖さがあったが、でもあれではまるでゾンビだ。にもかかわらずオタク丸出しの格好。なんか製作陣のネットに対するステレオタイプ的な偏見を感じ、そういう意味で怖かったのもある。ネットの怖さは、日常は普通の人がネットだと攻撃的になったり、祭りという状況に乗せられて攻撃したりという匿名の中での人間性の怖さだと思う。それが刑事の前に姿を現わしてなおかつ攻撃したり、そんな状況にもかかわらずあの格好とか、ネットの掲示板をよく知らない人が作ったのかと疑う。
それと主人公である女の子もずっと被害者として保護されるべき者として健気に描かれていたが、実は兄の犯行に気付いて黙っていた姿はちょっとゾッとしたけど、多分本来の意図とは違って単に演出不足じゃないかと思う。
他の配役については佐藤浩市とは大分異なる松田龍平の軽い演技は、逆に権力を笠にきているいい加減な警察官としての演出は良かったと思う 。柳葉敏郎は最初主人公にキツイ言葉を浴びせたりして、いつもと違う役柄に興味を引いたが、結局人情ある役柄に落ち着き残念。
後半の方向転換はネットというつかみどころの無い相手をいいことに、マスコミを糾弾する代わりに批難の的にして逃げたような気がする。
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