[コメント] フロスト×ニクソン(2008/米)
人は己の弱さの裏返しとして、自らも思わぬ強権を振るったり、根拠なきはったりをぶち上げたりする。この話しのベースは、そんなフロストとニクソンの人間臭い利や欲だ。その柔和な体現でもある、ナンパ女の同伴や、イタリア靴へのこだわりが結構効いている。
復権を賭けたフランク・ランジェラとマイケル・シーンの好演対決は、緊張感をはらみ実に面白い。しかし、対決に賭けるそれぞれの思惑は決してピュアなものではなく、勝敗の結果にどのみち爽快感など生まれないし、必要もないのだから、二人にもっと嫌味な終幕を準備してもよかったと、行儀の悪い映画が好きな私は思うのであります。
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