コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] ダウト あるカトリック学校で(2008/米)

主演3人の演技は見事。演出も悪くない。しかしそもそもの物語自体の魅力に限界がある。観客は突き落とされる所まで行かない。☆3.7点。
死ぬまでシネマ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







演技には迫力がある。賞にノミネートされるのも納得出来る。しかし所詮は「あるカトリック学校で」の話であり、我々個々人がそれぞれ自らの「闇」を覗き込まされる所まで追い込まれていないのが残念な点。

とは言い乍らも主題の「疑う事」には考えさせられる。最後の校長(ストリープ)の突然の嗚咽、あれは本当に唐突で、俺には当初映画を終わらせる為の予定調和的な場面に思われたのだが、やはりあそこで校長が負い続けている十字架を見せる必要はあったのだろうと思う。「権力」を持って(以て)「正義」を行なうものには必ず「神からの隔絶」が訪れる。警官や刑事がその最たるものだが、ひとを疑わねばならない立場にある者は、どうしても自分の独善を信じなければならない事になる。それは本当は、神(真理)の守護から離れた、非常に恐ろしい事なのだ。

校長が正しかったか、それとも神父(シーモア=ホフマン)が正しかったか、ではないのだ。仮に校長が正しかったとしても、校長が神父を疑い続け、糾弾し続ける煉獄には変わりはない。神父が行なった事がなんであれ、神父は校長の不寛容を呪い哀しむだろう。明らかに神父は自らに弱く、他者にも阿ろうとする傾向がある。それが本当の寛容といえるのかも、難しい。

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (2 人)Orpheus 水那岐[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。