[コメント] グラン・トリノ(2008/米)
最近のクリント・イーストウッドはもはや神がかり的。
(『ミリオンダラーベイビー』のネタバレあり升)
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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激しい感動があるわけではないし、話の展開にしても何のひねりもない。普通の、想像通りの展開なのだ。ありふれた題材であるといってもよい。
それなのに、こちらの心を両手でしっかり掴んで、ゆっくり、じわじわと、揺さぶる。
この少し砂っぽい、ざらつきのある映像とともにクリント・イーストウッドはひとつの到達点に行き着いた感さえある。
最後の己(ウォルト)の死は『ミリオンダラーベイビー』でマギーだけを殺してしまったことへの答えなのか。両作品でクリント・イーストウッドが自ら演じる人物像はどちらも同じような頑固オヤジであり、しかしながらそれがワンパターン感を与えることなく、その上なぜかまったく異なる作品に対して、クリント・イーストウッドの演じる人物を軸に連続性を感じさせる。これはもうクリント・イーストウッドの世界観がなせるわざだ。
マギーだけを死なせてしまったフランキーとパラレルな存在のウォルトは、タオのために自らの死を選ぶ。その死はタオのためだけでなく、一人生き残ってしまったフランキーが下した、もう一つの答えなのかも知れない。
(死せる)愛する者のために生きること。(生きて欲しい)愛するの者のために死ぬこと。いずれをも見事に描いたクリント・イーストウッド。後、彼が何作品撮れるのかわからないが、伝説はもう始まっているのかも知れないとすら感じる。
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