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[コメント] グラン・トリノ(2008/米)

死にぞこないの道行き(レビューはラストに言及)
グラント・リー・バッファロー

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







自身が齢80を越えていることももちろん関係しているのだろうが、最近のイーストウッド作品は『許されざる者』、『硫黄島の手紙』、『ミリオンダラー・ベイビー』のように、死ぬことができず、生き延びてしまった人を中心に描いているように思える。

ぬけがらのようになった自分と自分の求めていた華やかさが失われてしまった世界で、主人公はかすかな希望を見出し、そのために最後の戦いに挑む。

自分のことは自分で解決し、手を下してきたイーストウッドが最後に見せたのは自分の身を投げ出すこと、他人の前に自分の命を差し出すことだった。

結局のところヒロイズムに酔った犬死だと思うが、犬死だったからこそよかったのかもしれない。むしろ死にぞこないだった彼にしては綺麗すぎる死に方だった。次回作も待機していてイーストウッドの遺作ではないそうだが、遺作としては少し派手でかっちりしすぎているような気もした。(★3.5)

(評価:★3)

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