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[コメント] 天使と悪魔(2009/米)

現実と虚構の混ぜあわせ方の大胆さは前作以上。映像にしづらいバチカンという時空間の選び取り方には、映画として誠に正統的なスキャンダラス要素も含みセンスを感じる。しかし伝説の複雑化は説明を増やし、説明過多なる映画はサスペンスの奥行きを浅くする。
ジェリー

この手の映画で、架空伝説にリアリティを込めようとする姿勢は本来不要で、この映画においても完全にマクガフィン化した上でなおかつ面白いものにしてこそ、栄光のアルフレッド・ヒッチコック作品群を高貴な資産として引き継いだハリウッド映画人の心意気というものだろう。そこに至らないというか、むしろその捏造された伝奇的要素によって観客を呼び込もうとしているかに見える下心に映画の基本構想の端緒からのスケールの小ささを感じる。伝奇的風味は言語芸術の宝であって視覚芸術の宝ではない。

(評価:★3)

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