[コメント] 女相続人(1949/米)
うぶ、天然、世間知らずなキャサリンが見せる得意顔や困惑顔は微笑ましくすらある。そこに“しがらみ”に対して無防備にたれ流される良心をみるからだ。一転し、一滴の良心も漏らすまいと、彼女の顔に貼り付いた「拒絶」と「沈黙」のなんと恐ろしく攻撃的なこと。
周到な脚本とウィリアム・ワイラーらしい律儀で折り目正しい演出で、すべての会話やエピソードがキャサリンの「憎めない無防備さ」に向かって収斂していく。物語の標的となったキャサリンの変貌をオリヴィア・デ・ハヴィランドは、いささかオーバーアクトぎみに、つまりは絵に描いたような本当っぽさで、的確かつオーソドックスに体現しいく。
描かれたのは成長と呼ぶにはあまりにも過剰な変貌。
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