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[コメント] レスラー(2008/米=仏)

エンタとしてのプロレスは十分楽しめるし、落ちぶれたレスラーの姿には心を締め付けられる。全てにおいて、ドキュメンタリーのようなリアル感に満ちたエンタテイメント。091011
しど

この作品の素晴らしさは、舞台となるプロレスのシーン自体がとっても「プロレス」していて、手に汗を握るエンタテイメントとして成立しているところにある。だからこそ、老いた肉体エンタテナーの末路が非常に心を打つ。

プロレスを「リアル」な戦いだと考えているのは、中学生くらいまでだろうか。しかし、「やらせ」であっても、多くのレスラーが体を壊す、非常に過酷な仕事である。日本では、2代目タイガーマスクの三沢がリングで亡くなった。

いっそ、真剣勝負ならば、しなくていい怪我も多いだろう。額をカミソリで切らなくてもいいし、ホッチキスを体に撃つ必要もない。プロレスラーはエンタテイメントだからこそ、無駄にムチャをする。そして、体に負担をかけていく。

この作品では、そうしたレスラーの過酷な姿が丁寧に、そして温かな優しさから描かれる。リングを離れ、バイトで生活費を稼ぐ姿にも。

主演のミッキー・ロークは単に自身が落ちぶれただけでなく、演技と肉体が非常にリアルで、本物のレスラーを見ているようであった。ミッキーだけでなく、助演のマリサ・メイを始め、全ての役者がいい。

監督の作品は『π〈パイ〉』しか見てないが、突拍子もない設定ながら、やたらリアルな緊張感を持つ作品だった。

主人公の生き方は、ヤクザを描いた邦画の『竜二』にも似ているし、特殊な物語ではないのかもしれない。きちんと、「(バカな)男の生きる道」を描けば、似たような展開になってしまうのかもしれない。

男にとっての生き方とは、人生を賭すべく「リング」をみつけることなのかもしれない。

(評価:★4)

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