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[コメント] それでも恋するバルセロナ(2008/スペイン=米)

アイリスインでの幕開け直後から、オレンジ色の光に包まれる。レベッカ・ホールスカーレット・ヨハンソンの、空港の玄関前のシーンだが、この後の繋がりを考えると夕方ってことはないだろうから、非現実的な画面作りなのだ。以降も夕景のような光が多い。アレンの趣味なんでしょうね。
ゑぎ

 また、本作のカッティングで特徴的なのは、人物をディゾルブで繋ぐ処理だ。例えばタクシーの後部座席の二人、ホールとヨハンソンのキャラを一人ずつ紹介する際に、ホールからヨハンソンへのカット繋ぎがディゾルブだが、さらに顕著なのは、ハビエル・バルデムとレベッカ・ホールが初めてキスをするオビエドの夜の屋外。向かい合った二人を短くディゾルブで繋ぐカッティングを繰り返す。これにより、二人が結ばれることを暗示する。同様に、街中でペネロペ・クルスの写真を撮るヨハンソンのシーンでも、さりげなく二人をディゾルブで繋ぐので、この後の、二人の関係を予感することができるようになっている。これは、見方によっては、説明的な演出と云うことも出来るかもしれない。

 三人の女優は皆それぞれ存在感のある良い仕事だと思うが、それでもプロットを揺すぶる衝撃度、という意味で、ペネロペ・クルスが一番面白い。次に、振れ幅の大きさ(婚約しているのに、結婚しているのに、という部分)の面白みで、レベッカ・ホールが重要だ。ヨハンソンのキャラを好む人は多そうだが(単純にセクシーだし)、起伏の乏しい役だと思う。

 ペネロペ・クルスに対してバルデムが、何度も何度も英語を使え、と云うのだが、会話が白熱してくると、結局二人ともスペイン語しか使わない、という繰り返しが面白かった。

(評価:★3)

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