コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] サンシャイン・クリーニング(2008/米)

リトル・ミス・サンシャイン』と全体のノリは違うが、同じ系統のユーモアを感じた。腰をすえて、姉妹の心情をじっくり描いた作品。清掃業と二人の過去のつなげ方も上手い。
agulii

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







予告やあのおじいちゃんが再出演という話から、勝手にコメディだと勘違いしていたら、コメディ要素は少な目でした。ストーリーだけ抜き出すとどうしようもなく重いし暗い話ですが、『リトル・ミス・サンシャイン』と同じ感覚のユーモアが交えられているから、上手くバランスが取れていて、明るい気持ちで鑑賞できました。

現場清掃を始めて母親の遺体を見たことを思い出し、現場清掃をしながら母の死について整理していく、という筋が面白いです。 特に、母親の血が床に滴っているシーンと、現場にあった血の跡を掃除するシーンは上手く対応していると思いました。

全体的に、現場を清掃するというのは人の死を「消す」のではなく、「整理する」という意味で描かれていると感じました。ノラの「死んだ人の跡を消すのは寂しい」などというセリフもそれが結論ではなく、死というものを整理する行動の一部なのかな、と。

自分が本当にいいことだと思ってやったことがとんでもない失敗につながってしまう妹、まじめで努力家で人並みに前向きでそれなりのプライドもあるけど上手くいかない姉、という人物像も素晴らしかった。

特に、姉が同窓会のような場所で今の仕事のやりがいを語るシーン。語る内容は前向きだし、人の嫌がる仕事にも自分なりの素晴らしさを見出しています。ここでハッピーエンドと終わるストーリーも多いです。 でも、現実としては、いくら前向きで仕事にやりがいを感じていても、上手くいかないこともある。そこを汲み取った脚本って少ないと思います。

ラストが「未来は希望にあふれている」というノリじゃなくて、「希望があるかはわからないけど、二人とも前に進もうとしているんだな」ということだけがわかるというのもグッド。

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (2 人)わっこ[*] セント[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。