[コメント] ウルヴァリン X-MEN ZERO(2009/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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本作はシリーズでも最も人気が高く、映画では主人公格として活躍していたウルヴァリンを主人公に、X-MENでは主題の一つであった、彼の過去が描かれる話となっている。元々が主人公だったのだから、スピンオフと言った感じじゃないし、「X-MEN ORIGINE」の原題表題通り、X-MENの前史として位置づけた方がしっくり来る。
それではまずシリーズにおけるウルヴァリンの位置づけというものを考えてみたい。X-MENという作品はヒーローがいっぱい出てきて、正義と悪に分かれて戦い続ける。という単純構造と共に、その奥にはミュータントとして生きる事の存在意義をそれぞれのキャラが探し求めていると言う事が大きな魅力になっている。
それらX-MENメンバーの中で唯一“今”に悩みを持たないのがウルヴァリンという存在だった。彼にとって重要なのは記憶喪失となった自分の過去のことのみで、他のキャラのように、ミュータントとして生きることの存在意義について悩むことはない。と言うか、その部分はすでに超越してる。
欲望に忠実で、他のキャラがうじうじと悩む中、一人だけ突出して道を切り拓く。性格が善人のために正義の側に位置しているが、それも自分の欲に忠実なだけで、放っておけば気持ちが悪いので助ける。という単純明快さだし、洗練されたヒーローにはないワイルドさも魅力。今やジェームズ・ボンドでさえ葉巻をトレード・マークから外す時代に、堂々と喫煙してみせるなど、周囲を気にしない態度も良い。その癖妙に人懐っこいところもあったりと、人間的な魅力にもあふれている。
一見X-MENメンバーからは浮いてるような性格が、メンバーの中にあって最大限活かされていた訳だ。
だが、本作はその部分に手を加えた。
本作はウルヴァリンが切望してやまない過去の記憶についての話となった。これは前述したウルヴァリンの魅力を少々変えてしまった。
これにはプラスもマイナスもある。
過去を描くことで、ウルヴァリンの謎は解け、ぐっと身近な存在になったのはプラス面。孤高のヒーローは、過去もやはり孤高であったことが分かったし、一人のヒーローの誕生を描くには充分な作りだった。
一方、X-MENの内部にあってこそ持っていた個性は、本作においてはかなり減殺された。本作の描き方は、非常に単純なものなので、ウルヴァリンの持つ悲しみや、あるいはこだわりというものが、“今”にシフトしてしまい、他のX-MENメンバーと同じ土俵に立ってしまった。それが悪いとは言わない。ただ、謎の部分に魅力があったキャラの謎があっけなく明らかになってしまったことが少々食い足りない気分にさせられる。
でも設定部分を単純にした分、演出の冴えはますます上がってる。CG多用は当然な話だが、今回CGの使い方もアクション部分にこだわらず、普通の生活描写の中でも数多く用いられ、自分では意識せずに能力を発揮してしまうミュータントの姿などが日常描写にそのまま溶け込んで見えるのも細かくて良い。アクション部分も見所たっぷりで、スカッとしたい時には最適の作品だろう。
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