コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] ヴィヨンの妻 桜桃とタンポポ(2009/日)

しっかり純文学している。せりふ回しが終始空まわりしているあたりが、いかにも純文学っぽくってよい。
緑雨

松たか子が小料理屋で働き始めるや途端に客が色めき立つ件りでは、ベタなテレビ的娯楽演出(そもそも伊武雅刀室井滋というキャスティングからしてややベタな雰囲気はあるのだが)に傾く嫌な予感に襲われたが、杞憂であった。浅野忠信はユニークな掴みどころのなさを維持し続け、松もイノセントな強かさを好演して健闘。妻夫木が終電後の線路をすたすた歩き出す件りや、松が口紅を通りの傍らに置く件りも映画らしい好エピソード。

美術装丁も含め、終戦直後の人々の生活の営みが、ここまで気合を入れて作り込まれていることに、まず嬉しくなってくる。傑出した素晴らしい映画と力説したくなるまでには至らないが、フジテレビ資本でこんな良心的な佳作を観られるとは嬉しい誤算。

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (1 人)3819695[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。