[コメント] 沈まぬ太陽(2009/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
冒頭のゾウを撃つシーンを見て、渡辺謙が硬直化して鈍くなった組織に風穴を空ける映画かと思ったが、ぜんぜん違ったようで、困難から逃げず、誘惑にも流されずに己の意志を貫いた一人の男の生き方を描いた映画だったわけだ。
理不尽な扱いを受けながらも会社にしがみつく生き方は立派だとは思うが、大企業で給料もたくさん貰えるから今辞めたら勿体無いとかそういう打算もちっとはあるんじゃないかと思えるのでそのへんが本気で入り込めなかったりする。海外勤務も意外と楽しそうじゃんと思える部分もちらほら見られたし、大手町支店の彼だって、一日中机にボーっと座っているだけで金が貰えるなんて今からすれば恵まれすぎだろう。
まあ僕のくだらない感想は置いておいて、ラストの手記だけはストレートに響いた。
前半部分は事故の被害者以外の者が何か語ることを許されるとすれば本当にこれぐらいしかないのではないかと思えるぐらい密度が濃い。有名な"パパは本当に残念だ"の遺書に並ぶ名文だと思う。でも後半の文章はどうなんだろう。いきなりアフリカに来ちゃいな言われても僕なら困ってしまう。
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私は今も絶望のふちに立つあなたに語れるどんな言葉もありません。
私が今まで経験した全ての理不尽で、ひどい時間を100万倍にしたところであなたの絶望には決して届かない。
私は今まで何とささいな取るに足らないことに傷つき、それを呪い、己の不幸を嘆いていたことか。
坂口さま
あなたの長い長い旅路の終わりにどうか一度アフリカを訪ねてくださいませんか
なに一つ遮るもののない悠久の大地では厳かな大自然の営みがくりひろげられています
それをぜひあなたにも見ていただきたいのです
地平線へ黄金の矢を放つアフリカの太陽は、荘厳な光に満ちています。
それが私には、不毛の日々を生きざるを得なかった人間の心を慈しみ明日を約束する、沈まぬ太陽に思えるのです
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