[コメント] パリ・オペラ座のすべて(2009/仏)
非日常としての舞台とその裏の準備作業が「日常」そのものである「オペラ座」という時空間。
挿入される舞踊も、それぞれ全く異なる色合いの幾つかの演目が断片的に提示されるのみで、ひとつの舞台が作り上げられていく過程がドラマチックに捉えられているわけではない。反復される無人のショット(パリの街並みを捉えた屋外ショット含む)との対比による、オペラ座という場に律動を与える人々の息遣い。「舞踊」という非日常の日常性に観客が馴染んでいくのと比例して、衣裳制作、打ち合わせ、出資者向けのパーティ、壁の塗装、掃除、等々の卑近な日常が、いつしか「オペラ座」という時空間の刻むリズムとして「舞踊」に接近していくのを感知する。オペラ座の概要を伝えるという情報伝達の意味からは些か冗長とも思える尺も、オペラ座という生活世界に流れる時間を体感するには必要だったのだ。
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