[コメント] 私は二歳(1962/日)
勝ち気な「美人すぎる団地妻」山本に、憎めないが口先ばかりの駄目夫をやらせたら一級品の船越、存在全てがすっ惚けている浦辺という鉄板キャスティングが織りなすハーモニー。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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それまでいがみ合っていた山本と浦辺が結託して、教養番組を視ろだなんだと船越を攻め立てるシーンは可笑しくてたまらん。動物園での迷子センターの恐ろしげな光景だとか、浦辺の急死の直前にバイクで暴走する若者をカットインさせたりだとか、ほのぼのファミリードラマの基調に不穏さブラックさを忍び込ませるあたりも佳い。
日本家屋での大家族から集合住宅(団地)での核家族化・少子化という急激な社会移行期の価値観の変遷を切り取って垣間見られる上に、三種の神器(京塚は電気冷蔵庫の頭金をせびりにくる。浦辺が電気洗濯機を使わずに洗濯板で洗うので困った山本は暇つぶしのためにテレビを買ってくれとねだる。)が漏れなく挿入され、昭和の生活史の記録としても興味深い。
一方で、本作が撮られてから半世紀が経とうとしているわけだけど、これを観ると育児なんて本質は変わらんのだよなという当たり前の事実も実感される。いやむしろ共同体回帰の志向が生まれつつある2010年代にこそ観る価値が再興している映画だと言えるのかもしれん。
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