[コメント] フローズン・リバー(2008/米)
男性不在の映画だなあ。次のトレーラー住宅を購入する資金を持ち逃げした男は映像にはいない。モニーク族の女性の夫も死別。当然、それぞれの母親は父親兼務の母親を強いられている。すなわち男になり切っている。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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男だから外に出て働く。そして家族を育て守る。女同士ではありえないと言われる友情も育つ。だから、お互いをかばいどちらかが罪に服することになる。まさに男の世界だ。モニーク族の女性は自分の本来の役目を知り赤ん坊を取り戻す。その行動も男性的だ。
だからとい言って僕は男性賛美をしているのではない。現代は、男性が不在でも、女性は男性兼務を強いられる崖っぷちの世界に生きているということなのだ。強くならざるを得なくなっているということなのだ。そしてこの映画の脚本・監督は女性である。
あの、捨てた鞄の中身を聞いてからのあの女性たちの行動はでもまさに母性本能だ。我ら男性族には本能的には通じない種類の行動だろう。でもあの女性たちはこの行動を経て自分の人生を知ることになる。すなわち女性にはあり得ないと言われる友情という宝物を手に入れる。
女性たちがさばさばしてていいですね。人生はこの映画に出てくる国境の河のように凍結し、融解もするが、それでも滞ることなく流れている。人種差別、貧困等々アメリカの抱える問題はすべてどの国でも本質的に抱えているものである。そんな現実をさらりと凛々しさまで感じさせる演出は秀逸だ。力作である。
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