[コメント] 宇宙戦艦ヤマト 復活篇(2009/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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2010.1.13 TOHOシネマズ梅田で鑑賞。鷹の爪団のマナームービーは、内容がマナー指導じゃなくなってたが、「紙兎ロぺ」における先輩リスのヘタレかげんがすばらしい。
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2010.1.13 TOHOシネマズ梅田 5番スクリーン 17:40上映開始の回を、当日昼過ぎに予約していた。席番は最後列のど真ん中 E-12 である。もしもトイレに突然行きたくなったりしたらヤなので、通常は通路側に座るのだが、今日は狭い小屋だったし、予約状況を見ると入も悪そうだったので、ど真ん中にしたのである。
席に向かって目を疑ったのだが、左隣 E-11 に、デブのメガネのブサイクな女が座っていたのである。身長155で体重69とかそんな感じで、髪の毛はねっとりと脂ぎっている感じ。なんか「アニメ同好会」とかにいそうな女だ。
なんで一つ開けねーんだよ、と、思いながら、コートと上着を脱いで、携帯スリッパを準備して、コーラをホルダーにセットして、ポップコーンを膝に乗せてスタンバイである。予告編が始まってから気になった。デブは風邪を引いているらしく、グスグス鼻を鳴らしている。てめー、鼻が詰まってんのに映画に来てんじゃねーととか軽く殺意を覚えながら、彼女の蛮行に憤っていた。
しかし彼女はデブでブサイクとは言え、やはり女性である。小学校の教師は共産党でフェミニストだったので、と、勝手に推測で自分のバックグラウンドを断定的に語ったりしながらも、やはり私も同様フェミニストの端くれ、失礼があってはならぬ。ビデオ男が出てくる前にMサイズのポップコーンは全てきれいに食べきって、静かに鑑賞します的態度である。
で、上映が始まってびっくり。「原案 石原慎太郎」だって。なにこれ?都知事が何やってんの?ヒマなの?
冒頭の「イスカンダル」というスキャットに、「無限に広がる大宇宙」のナレーションは、やはり何回聞いても素晴らしい。しかし、いろいろと変化があることに気づく。松本零士的タッチはなくなり、声優も相当交代しているようだ。故人である富山敬はともかく、森雪の声を出してる麻上洋子が変わってるのはどうなんだ。画のタッチも違うし、波動砲も水鉄砲みたいな感じになってるし、さらに六連発の大サービスである。六連発と聞いて、かつて松本人志が和田アキ子を目の前に「波よ来い、六発ほど来い」というイメージ歌詞を彼女のために作ったことがあるが、それを思い出してしまった。
乗組員の制服も、妙にピチっとしたセクハラタッチなボディスーツになってるけど、女性の名前を呼び捨てにしたりとか、訳の解らん倫理感が支配しているようだ。
ストーリー的には、ブラックホールの通過途上に地球があることが判明し、全人類を別の星に移住させる計画が持ち上がるんだけど、異星人から妨害を受けたので、それを回避するため、冷や飯食わされてた古代君が、真田科学技術庁長官の肝入りで、新生ヤマトとともに宇宙に出撃!という話である。
今回はデスラー総統はお休みらしく、伊武雅刀が適役の大将の声を出しているのだが、この大将だけでなく、いろんな人がヤマトのためにカミカゼアタックをしてしまうのである。唐突なのはカミカゼアタックだけではなく、ストーリー運びのいろんな部分が全て唐突で、ストーリーやセリフも十分練られていないような印象をあたえる。
古代君も顔がなんか変だし、変といえば古代君以外は全員変な顔みたいな気がするし、真田さんも声は青野武のままで良かったけど顔はクリストファー・ウォーケンみたいになってるし、回想シーンは松本零士タッチのがそのまま挿入されてるし、でも佐渡先生は妙に松本零士タッチだし、というわけで、どういう方針が働いていたのかいろいろ考えさせられるものがあった。でも山寺宏一の声はまあまあ新生古代君には合っていたかもしれない。
で、ふと気づくと隣のメガネデブがポップコーンをやおら食い始めたのである。ガサゴソガサガサと食い始めたのである。お前なー、上映前に食っとけよな、と思っていると、そういえばさっきからそうだったのだが、20秒置きに、そのネバネバした髪の毛を触ったり、こめかみを掻いたりしているのである。それを意識し始めるとものすごく気が散るのである。
それはともかく、ストーリーはなんというか強引に進んで行き、とにかくびっくりするのがカミカゼアタックの多さに、登場人物の背景の説明の少なさだ。ヤマトやその他の宇宙戦艦のCGと、アニメの融合はそこそこうまく行ってるし、なによりCGが「パチンコのCMレベル」は軽くクリアしているので、そこは良かった。しかし、どうにも演出が古い感じがして、こんなアニメ作ってるようじゃ、日本のアニメの将来も明るくないなと悲観的になってしまった次第である。そう言えば「銀河鉄道999」も、今思えばジジイの説教みたいな筋運びだったよなと思いつつ、70年代的なものを現代につなげようとすると無理あるよなとも思ったりする。
それに、今回の敵はどう見ても中国を暗喩していて、その星が宇宙を支配しようとしているという設定なのである。道理で石原都知事の名前が出るわけだ。
そうしている間にも、隣のメガネデブの頭掻き攻撃は続く。
で、話が進んでボスキャラ的要塞が登場し、それを「人間魚雷回天」みたいな爆撃機でカミカゼアタックして攻略しようとするのだが、ほんとになんでみんな自殺行為に走るわけ?
で、六連発波動砲が次々炸裂する度に、隣のデブはビクッ!ビクッ!と、体を震わせるのである。なんだよそれ。何にビビってんだよ。
んで、敵のボスキャラを倒したと思ったら、実は連中は異次元生命体で死んでなくて、ブラックホールを操っていたのもこいつらだったのであるということが、敵の口からわざわざ明かされるのである。なぜか日本語までしゃべってるのである。別の宇宙人なんか「武士道」とかぬかしてたし、敵の大将は、「やっちまいな!」という代わりに、ローマ皇帝のようなサムダウンジェスチャーをするのである。宇宙人の癖にどんだけ地球通なんだよこいつら。
そして最後は波動砲六発一気撃ちで、敵のブラックホールを粉砕するのだが、撃つ前になって「6発同時に撃ったら、ヤマトにどんな損傷があるかわからん」とか言い出すのである。ブラックホールの中心部の弱点は、ものの3秒くらいで発見するのに、波動砲を撃った時の力学計算とかできないのである。
で、ここで隣のデブが信じられない行為に及んだ。ケータイのメールをチェックし始めたのである。「お前、何やってんねん!」と、思わず呼びかけたが、ガン無視されたのであった。
で、当然波動砲を六発一騎打ちしてもどうということはなく、艦首が少々大破するだけなのだが、こんなものは大した損傷ではないのである。ドメル将軍の自爆攻撃で大穴開いたこともあるヤマトだが、ほんの数日で嘘のように修復されるほど、ヤマトは修理が容易なのである。心配はいらない。
そして、冒頭で素っ裸になりつつ異次元にワープした森雪は結局最後まで姿を表さないまま「第一部完」というテロップが出て終わりである。第何部まで続くのだろうか。
隣のデブは最後の最後まで、20秒置きに頭を掻いていたのであった。
まあ、今日は、隣のメガネデブブサイクのせいでカナリ興がそがれた感じもあるし、あまりにも適当なストーリー運びに呆れたせいもあって、しばらくはびっくりしていたのだが、やはり時間が経ってみると見てよかったかなと思えるのであった。これがヤマトの不思議なところである。
まあ、アルフィーの主題歌はともかく、久しぶりにヤマトが見れて良かった。
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