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[コメント] ラブリーボーン(2010/米)

これがあの『乙女の祈り』を監督したピーター・ジャクソンかと疑うほどに叙情性を欠く。LOTR三部作の成功でCGも自在に使える解放感に満ち溢れても見えるが、ドラマより幻想シーンに凝ることに夢中になりすぎだ。やたらと動き回るカメラワークも鬱陶しい。
煽尼采

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







スージーの幻影の中に現れていた氷柱が最後に犯人の上に落ちてきて彼は転落死するわけだが、この氷柱が直接に犯人の体に致命傷を負わせるのではないところに、スージーが彼に抱いていた殺意にワンクッション置く工夫が見られる。尤も、それは偽善的でもあるのだが。スージーは、犯人に自らの遺体が遺棄されているさなかに、霊感少女の体に乗り移って、生前に果たしえなかったキスをする。この時に既に犯人はスージーの家族らの許から離れているので危険は去っているし、スージーは犯人への復讐よりも、思春期の少女としての思いの方を大事にしていたわけだ。遺体が「ゴミ」として処分されることと並行してのキスシーン。このカットバックだけは、実に切ない。肉体としては完全に現世から離れてしまう瞬間と、唇を触れあうという最後の願いの実現する瞬間を一致させる作劇。ただ、このシーンへの持っていき方が上手くないので、何らかの形での犯罪の暴露を観客に期待させてしまうのが不適切。最後に犯人が死ぬのは、逃亡先で再び少女に声をかけたその報いということなのだろう。妙に教訓臭いシーンになってしまっているのがいただけないが。

(評価:★2)

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