[コメント] (500)日のサマー(2009/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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あのクソ女め。
で始まるこの映画。この始まりであるからこそ、全編を何とか見ることができた。
というのは、男女の単なる500日のエピソード、というだけであれば、この映画は成立しない。
男性の目から見たクソ女、というある意味自虐的な始まりだからこそ成り立つ映画だ。
しかし、残念なのは、映画全体がいかにも冗漫で、もうひとつ食い込んだ何かに欠ける。
ほかのコメンテーターが書いていた通り、見方を変えると、この映画はウディ・アレンタッチなのだ。
しかしウディ・アレンとの大きな違いは、スパイラルに陥りながらも、そのぐじゃぐじゃの世界観を直視しようとしていない。いかにも軽い。
軽いのが現実であり現代的であるとするならば、どこかに響くメッセージのひとつぐらいあってもよさそうな気がする。
但し、途中モノクロ映画で幻想の世界に入る。
この部分だけは高く評価できる。
飛躍しているが、このモノクロ部分の表現力は欧州的でこの映画とは相反する。
ウディ・アレンが『インテリア』でイングマール・ベルイマンの世界を超越しようと試みた世界観が重なる。
それはしかしもっと混沌としたもの。フェデリコ・フェリーニのような突き放した世界と、ロベール・ブレッソンのような哲学的なものが折り合うような世界。
まさかそこまで考えて撮ってはいないだろうが、あの部分だけは輝いていたと思う。
役者ではクロエ・モレッツがいい。彼女は『キック・アス』でも見事な演技だったが、この映画でも大人っぽさが際立っている。
最後のシーンはいい。
サマーからオータムへ。
季節と恋の移ろいを示す映画であることを暗示している。
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