[コメント] ユキとニナ(2009/仏=日)
諏訪敦彦の『お引越し』。なんと正しい結末。その「正しさ」を判定する合理的かつ明確な基準などもちろんありはしないのだが、『ユキとニナ』にとってこれほど正しい結末があるだろうか! と溢れ出る涙が私にそう口走らせる。ユキが森を抜けた瞬間のロングショットに諸星大二郎『鎮守の森』をうっかり想起。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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ふたりの少女の魅力がスクリーン全面にほとばしっている。それは少女あるいは子供ゆえの可愛さというにとどまらない、人間的な魅力だ。本当に「ユキ」と「ニナ」という人間が実在するとしか思えない。宝物にしたいシーンを三つだけ挙げるならば、一連の「愛の妖精」のくだり、必殺の「ニャーニャーニャー」が飛び出す仲違い、テント組み立て作業だ。
『ユキとニナ』を名乗るにしてはニナの扱いが小さい気がするけれども、この「別離」の映画が決して悲愴に堕ちないのは彼女のおしゃまな造型に拠るところが大きい。一方のユキを演じたノエ・サンピはカタカナ表記にすれば「ウン」でしかない語をバリエーション豊かに発音して、肯定と否定、そしてそのどちらでもない感情を無限のニュアンスを込めてサウンドトラックに刻みつける。真の女優である。
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