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[コメント] ボーイズ・オン・ザ・ラン(2010/日)

主人公の終始空回りする暴走に目が回りそうだったがしかし・・
蒼井ゆう21

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







新商品のアイディアを盗まれ、好きな女の子をもてあそばれたと信じる主人公の自己犠牲的な行動は、しかし、千春さんにとっては自己犠牲的な行動ではなく、自分とよりを戻したい(セックスしたい)からやっている自分勝手なパフォーマンスとさえ見える。

この映画は最後まで誰が敵なのか、なにがよいことなのかがはっきりとは示されず、よくわからない。だから、主人公の行動は最後まで空回りして終わっているように見え、それが「負け」なのかどうかもよくわからず、負けのカタルシスを得ることもできない(誰に対して戦っているのか?)

しかしそれでもなお、主人公に何らかの魅力が感じられるのは、主人公が「走り続ける」というところにあるのではないか。主人公は最後、煩悶しながら、フェラチオしてもいいよ、と言う千春さんを突き飛ばすことで、自己の欲望を否定し、「自己犠牲」(純愛)を選ぶ。

しかし、この自己犠牲は、この映画で散々見せ付けられたように、自己の欲望に基づく単なるパフォーマンスである可能性もある。

重要なのは、その「選択」ではなく「煩悶」のところであり、突き飛ばすところではなく、走り出すところだと思う。「自己の欲望」に忠実になるのでもなく、ただ「自己犠牲」を信じるのでもなく、その間を絶えず往復すること、その間を走り続けること、それは絶えず問いを続けていくことである

この映画の主人公に魅力が感じられるのは、その走り続けることから生まれる一種の倫理性のせいなのではないかと思った。

*しかし黒川芽衣がかわいすぎたので、こんなかわいい女の子がいきなり主人公のような男とホテルに行く、というところでなんか現実感がわかなかった・・

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)けにろん[*] ぽんしゅう[*]

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