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[コメント] ハート・ロッカー(2008/米)

正直アカデミー賞に値する作品だとは思わなかったが、アメリカが現役の戦争国家であり、そこに兵士を送り込むメカニズムが、あの資本主義国家の中に存在しているということに寒いものを感じた。
サイモン64

2010.3.16 TOHOシネマズ梅田 9番スクリーンで鑑賞。

終始緊張感に包まれる映像である。この映画を見ていて、アメリカが現役の戦争国家であるということを改めて確認した。しかし、自由の国アメリカにおいて、未だに兵役に自らの意志で赴く人々がいることに驚かされる。しかも、これは国家の威信をかけたような大義ある戦争ではなく、愚かなるジョージ・ブッシュ元大統領が画策した戦争なのである。

アメリカと言う国には自由を謳歌する国民を多数抱える一方で、兵役を維持するシステムが備わっているのだ。それは兵役に出なければ生活ができないとか、学費が得られないとか、貧者の弱い部分を突いたシステムである。アメリカは自由の国でもあるが、弱者にとことん厳しい徹底した資本主義の国でもあるのだ。

そして彼らは他人の国に土足で乗り込み、ドタマに拳銃突きつけたりする。誰がこんな連中好きになる?

そんな背景の中、爆弾処理を担当する主人公を軸に、イラクで日常的に繰り広げられる戦争の風景を単発的なエピソードをつないで構成した映画がこの「ハート・ロッカー」だ。最初「ハード・ロッカー」とかけてるのかなと思ったが、「ロッカー」には棺桶という意味もあるらしく、まあ、いろいろな意味にかかっているんだろうなと思う。

撮り方はドキュメンタリータッチで、もうちょっと撮り方を変えて、編集方法を変えてしまえば、ほんとにドキュメンタリーフィルムに間違えてしまいそうな雰囲気だ。

もうしょっぱなから死亡フラグ立ちまくりである。なんていうか、一歩踏み出すだけで、缶を投げ捨てるだけで、猫が歩いてきただけで、ドカンと行ってしまいそうな緊張感がある。「平和ボケ日本」なんて言ってるが、ほんとに平和ボケしていることを痛感してしまう。鳩山首相なんて普天間基地の移設場所でアーだのスーだの言ってるが、現役軍事国家アメリカにしてみればこれは深刻な問題なのである。その辺の温度差をちゃんと理解しているのだろうか。岡田外相のやつれ方を見ると、それなりに理解している人たちはいるのかもしれないが。

話は横道にそれたが、なかなか興味深い映画だ。しかし、果たしてアカデミー賞を取るだけの映画なのかどうかはよくわからなかった。おそらく、リアルなアメリカ人からすると、かなりの切迫感を持って見られる映像なのではなかろうか。

娯楽作品に徹した「アバター」は何度も見られるが、「ハート・ロッカー」は、流石に重くて一回見たらもうたくさんという感じではある。ストーリー性も「ハート・ロッカーは非常に弱い気がする。

しかしながら、人々を戦争に駆り立て、「武力による平和維持」なんてワケのわかんない現実を生み出しているアメリカと言う国家には大きな欺瞞を感じる。

(評価:★3)

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