[コメント] ハート・ロッカー(2008/米)
「なんかさぁ、実際のところ俺たちもよく判んないんだよね…」というアメリカのぼやき。
今尚、世界中から「戦争中毒」と揶揄されているアメリカ。 この映画はそんなアメリカの現代におけるボヤキそのものだ。
僕が今まで観てきた従来の戦争映画は、 肯定的にしろ否定的にしろ、また、娯楽的にしろシリアスにしろ、 はっきりと戦争に対する「視点」や「価値観」を提示してきた。 それに同調するか反目するかはさておき、 常に「戦争」という事象に対するテーゼを投げかけるものであった。
しかし、この映画にはそれがない。 示唆もなければ、祈りもなく、メッセージすらもない。
ただひとつ感じ取れるのは、 「戦争中毒」と非難されてきたアメリカにとって、 「戦争」という事象に対する「視点」や「価値観」は もはや確固たるものではなくなっているのではないかということだ。
相変わらず世界中の紛争地帯に顔を出し、 機会をみつけては他国にケンカをふっかける一方で、 大半のアメリカ人が「戦争」に対して反対なのか賛成なのか、 異物として恐れをいただいているのか、日常として受け入れているのか、 そんなにはっきりと判っていないのではないか。
そんな現代的なアメリカの戸惑いが 主要3人のキャストの関係性・会話・仕草からはっきりと感じ取れる。
そういう意味でいえば、いつになく リアルな戦争映画と言えるのではないか。
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