[コメント] 博徒解散式(1968/日)
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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弁当箱・・・幸せの象徴である。けっして裕福ではないが、妻や母が愛情込めて作る、早起きして作る、幸せの象徴である弁当箱。
どんなシュチエーションであれ、ひっくり返った弁当箱ほど胸が締め付けられるモノは無い。それを深作欣二はあえて撮った。
ヤクザと弁当箱という奇妙なミスマッチは、ヤクザでありながらも背負う小さな幸せを教えてくれ、事故死したヤクザ者の死体という何でもないカットに、その男の歩いてきた半生さえも映し出して見せた。
死体の傍に、ひっくり返った無残な弁当箱をひとつ置いただけの演出である。たったこれだけの演出であるが、なんてこった、大スターの俳優を使って任侠道の崩壊やら無益な暴力やらを遠まわしに描くよりも、たったのワンカット、大部屋俳優の目を見開いた死に様と弁当箱の方が全てを語っているんじゃないのだろうか。
リアルとは程遠い大スターの芝居に手こずっていたという深作欣二にとって、きっと「何か」が見えた瞬間だった。そんな気がする。また、そうでなければ『仁義なき戦い』には繋がっていかないのだ。
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