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[コメント] アイガー北壁(2008/独=オーストリア=スイス)

これを見るにつけても改めて『アイガー・サンクション』とは無茶な映画であったのだなあ、というイーストウッディストとしての感想はともかく、絶壁登攀という題材が保証する以上の多大な緊張感。でも緊張状態が続きすぎるあまり作中人物の生き死にも段々どうでもよくなってくる、という思いもなきにしもあらず。
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**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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「距離」の主題――そそり立つ数千メートルの絶壁を登ること。数センチメートル手が届かないために命が失われてゆくこと。また、そのさまを間近に見守らねばならないこと。

ヒロインのヨハンナ・ヴォカレクにはかなり身勝手なところがある。これは意図的な造型という以上に脚本・演出・演技が詰めきれていないためだろう。笑顔の愛嬌でカヴァできていると見るか否かで評価は分かれる。

ベンノ・フュアマンフローリアン・ルーカスにとってアイガーの北壁を征服することは「個人の達成」以外の何ものでもないが、ゲルマン民族の優秀性を誇示しようと企むナチスに資するものでもある。これをイノセントな挑戦者たちの物語として語りたい映画は、ナチス絡みの暗い影から彼らを救うためにいくつかの措置を講じる。たとえば、彼らは決して“Heil Hitler”とは云わない。“Heil Hitler”と挨拶の声を掛けられても彼らは決して鸚鵡返しせず、どこか居心地悪しげな面持ちで言葉を濁すようにして適当にやり過ごす。

(評価:★4)

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