[コメント] アイガー北壁(2008/独=オーストリア=スイス)
「登頂」をテーマにした“英雄譚”ではなく、「下山」をスリリングに描いた“人間ドラマ”。安易なヒロイズムに陥る(登場人物がやたらと英雄的行動にでてしまう)ことなく、ただただ生きて帰ろうとした男たちの戦いを丹念に描いた山岳映画の佳作。
DVDにて、土曜の夜、ひとり鑑賞。
ドイツ映画ってこともあるので、ヴァイスビールでも飲みながらのんびり観よー、なんて思ってたら、作中に入り込みすぎ!息つく間なさすぎ!のため、栓も抜かんうちに映画を観終わってしまいました…。
実話をもとにした山岳映画といえば、最近では『運命をわけたザイル』などが記憶に新しいですが、虚実織り交ぜた映像のリアリティと役者陣の迫真の演技によって、本作も緊張感のある山岳映画に仕上がってますね。
敬愛するリリー・フランキー氏は自らがスキューバダイビングをして溺れかけた経験から、「人間は平穏に飽いて、死に近づくためにお金をつかってる。それがレジャーってもんだ」みたいなこと言ってましたが、「登山」もまた自らの命を自発的に死へと近づけている行為という意味では、常人には計り知れない究極のレジャーと言えるでしょう。
「家に着くまでが遠足です」と小学生時代いわれたもんですが、「下山も含めて登山」という当たり前の事実を、この映画をみて改めて実感しました。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (2 人) | [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。