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[コメント] 捜索者(1956/米)

予定調和的職人仕事に安心して楽しめるというSO-SO映画
junojuna

 ジャンルもの西部劇を超えてジャンルものジョン・フォードである。モニュメント・バレー、ジョン・ウェイン、お父さん世代の郷愁・・・われわれの世代、この時代に、今でこそ評価の高いこの良質なアメリカ映画に何を見出すか、その課題を見つめてこそわれわれにとっての現在的で豊かな映画観を育むことになるのではないだろうか。なるほどジョン・ウェイン演ずるところのイーサン・エドワーズが体現するアンチヒーロー像は映画におけるキャラクター造形に多くの影響を与え、広大な風景を舞台としたランドスケープ映画の空間処理のお手本となるなど数多のフォロワー・ワークを生み出したことは特筆に価するであろう。しかし、時代の現在性で過去を振り返る時、そこには明らかに色あせた遺物があるということを今、われわれは勇気をもって表明しなければならないのではないか。2008年現在、この映画にとっての唯一の救いは今なお色あせない喜劇タッチである。そう、ジョン・フォードは斜に構えて喜劇作家を自称していた。その通りジョン・フォードという豊かな土壌でわれわれは安心して娯楽の愉悦を味わうのだ。この時代に。

(評価:★3)

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