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[コメント] プレシャス(2009/米)

ガボレイ・シディベのビジュアルが放つ圧倒的な説得力。スラム最底辺社会の経済的・倫理的な救いようのない貧しさをこれでもかと突き付けてくる。
緑雨

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







一般的には性的な訴求力を持たないといってよい彼女が義父による凌辱の対象となるという事実の突き付けが生む遣る瀬無き生々しさ。もはやクズと呼ぶしかないモニーク演じる母親の鬼畜ぶりダメぶりも相当な造形。

やたらと物を投げ付け、終いには怒り狂ってテレビを投げ落す(後になってテレビを視ようとしてその不在に気づくという件りは面白い)など、物理的な激しさの表現はインパクトあり。ジャンプカットやスローモーションなど、妙にエフェクトを使いたがるあたりも、五月蠅いようでギリギリ作品の持ち味になっている。

代替学校の同級生との関わり合いなどの描き方は佳く、これは希望の物語であるとは思うのだが、何ゆえプレシャスが救われたのか、その転機の描出が曖昧で映画的な意味では感情の喚起力が薄い気がする。また、最後のマライア・キャリーを前にした長いダイアログに頼って全てを説明しようとするあたりもやや物足りない。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ぽんしゅう[*]

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