[コメント] グリーン・ゾーン(2010/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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それがアメリカという国なんでしょうね。
とても皮肉っぽく言いますと、アメリカは過ちを繰り返す国家であって、それを全方位的に許すことによって成り立っている国なんです。そういう宗教感なんでしょうね。恐ろしいことに。
かつて戦争映画というと、国威発揚系の作品が高く評価された時代もあったのですが、さすがにマイケル・ムーアの功績でもないのでしょうが、戦争とか虐待とかいう事実をアメリカという国が自ら非道を認めようとする認識に立脚するようになった。
その始まりは『地獄の黙示録』だと思います。
コッポラはこの映画でベトナム戦争がいかに無益であって、戦争の先に行きつくものが何かを明示しましたね。
その後作られた『プラトーン』を始めとする時刻批判をアメリカメディアは許してきた。これは評価できますね。
そしてクリント・イーストウッドの一連の作品もそうですし、スピルバーグも第二次大戦まで遡って戦争の無益性をうたいました。
テレンス・マリックもその仲間に入れてあげましょう。
そして今回はイラク戦争ですね。
この作品の前に『11′09″01 セプテンバー11』という作品を見たんですが、本作とセットで見て、なおかつマイケル・ムーアの作品も一緒にすると、アメリカという国の情けないほど気恥ずかしい自己主義が如実に表現されていて、とても参考になりました。
これはもしかしたら、アメリカという国の覇権がもうすでにアジアから中国へシフトしていることを意味しているのかもしれませんね。
中国は情報公開もままならない閉鎖国というレッテルを貼られていますが、アメリカだったこの映画の意味する内容を顧みれば、他国の正義に言及する資格など全くないような印象ですね。
化学兵器は隠されていなかった、という前提に立てば、この戦争がもたらした目には目を歯には歯をという姿勢がすでに破たんしている。そう思わせる映画だったと思います。
この映画自体に特筆する面は見受けられませんが、自虐的発想という意味では、ある意味エポックな映画だったと思います。
2011/01/07 自宅
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