[コメント] 9〈ナイン〉 9番目の奇妙な人形(2009/米)
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正直な話、物語と設定において言うなら、本作はとても月並みな作品だし、設定上のアラも多い。
確かに劇中いろいろと説明はされるものの、主人公たちや敵のロボットたちが持っている行動原理やモチベーションについては分かりづらい。やってること、目に見える目的もはっきりしてるのだが、彼らはそれぞれなにをしたいのか?ぼやけてよく分からない。
強いて言うなら本作の作りは日本の90年代のオリジナルアニメーションとどっこいどっこいだと言う事。とりあえずアクション面で質は高いけど、ただアクションさせるのが目的なので、物語を置き去りにする。ある意味本末転倒の物語としか思えない。
…けど、それを差し引いても面白いと思えるのは、結局主人公たちロボットの造形によるところが大きかった。まるで布と機械で作られた、子供がデザインしたようなとにかく彼らが可愛いのだ。なんかすっかり彼らに参ってしまった。あんな人形みたいなロボットが生き生きと動き回ってる。その姿を観てるだけで楽しい。
キャラのかわいさと殺伐とした物語のギャップこそが本作の魅力。
だが、それだけではやはり足りない。
敢えてこの作品のもう一つの魅力を挙げてみよう。
この作品の世界観たるや、とにかく凄いレベルの描写だ。
これはドイツ。しかも1920年代と言う限定された時代の物語(あるいは30年代かもしれないけど、相当の初期)。その年代特定のマニアックさが気に入った。結局私がこの作品を本当に“楽しい”と思えたのは、設定マニアの性だったりして(微量の軍オタの面もあるし)…
色々駄目なところがあっても、このマニア心をくすぐる設定とアイテム。画面を通して背後が見えるからこそ、本気で楽しいと思えるのだ。単なるレトロ風味で終わるのではなく、その情報量たるや凄いもので、明らかにこれは相当のマニアが楽しんで作ってる。それが直撃してしまった。
ロボットの造形にしても、外側のパーツは全て当時存在した材料を用いて作られてるし、それであれだけ表情豊かに出来てる。こんな所にも細かい配慮が感じられる。
詰まるところ、本作のマニアックな部分にはまれる人間にとっては、とても楽しい作品になる。この部分が本作の評価の分かれ目になるのか?
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