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[コメント] ザ・コーヴ(2009/米)

もっと腕のよい演出家を雇わなければ。論点未整理で主張の構成が粗雑。水銀問題の一点で攻め抜くほうがベターだった。“No Animals Were Harmed”が「常識」の時代に真正の動物殺害映像堂々公開! の香具師根性が先立ち、劇伴音楽は自重を知らない。挙句に終幕曲がボウイ“Heroes”とは阿呆すぎて腰が抜ける。
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**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







終幕間近、日本の代表者が発言中のIWC議場と、イルカ漁映像を映したモニタをぶらさげてそこに乗り込もうとする元イルカ調教師がカットバックされる。堂々たる劇映画宣言である。フィクション性を隠蔽するどころか前面に押し出す態度は潔い。しかしまあ不出来なカットバックだ。「入り江の秘密」を暴くべく活動するチームにしても各人の特技が申し訳程度に説明されているだけで、まったくキャラクタを描き分けられていない(自らこれを『オーシャンズ11』になぞらえることで彼らは陰湿なスティーヴン・ソダバーグ批判を企図している。なんて云うほかないほど稚拙なチーム演出です)。作戦シーンのスリラー演出も最初は期待を持たせるが、結局ぐだぐだの猿芝居に落ち着いてしまう。

映画の制作にとっては香具師根性というものも時として大いに必要であるが、それは決して演出の未熟さを正当化するものではない。腕を磨くことを放棄した演出家の怠惰な振舞いを、「映画」は許してはならない。

(評価:★2)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ぽんしゅう[*]

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