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[コメント] 暴力行為(1948/米)

これは見事な犯罪映画。フレッド・ジンネマンも真面目にやらないと(不真面目にやると)、こんなに良い、という例か。摩天楼の夜景。足の悪い男が歩いて来る。暗い部屋に入り、拳銃を取り出す。ロバート・ライアン。一見して偏執狂だと分かる。
ゑぎ

 ホテルの電話帳からヴァン・ヘフリンジャネット・リーへ繋ぐカッティングや、湖で釣りをするヘフリンと岩陰に隠れるライアンを映して、地勢を上手く見せる画面造型にも唸る。夜、部屋の灯りを消し、カーテンを全部閉めた後にライアンがやって来る、ローキーの場面が白眉だろう。ドアノブがガタガタするのが怖い。

 ヘフリンの妻を演じるジャネット・リーはまだ二十歳そこそこの頃で、とても可愛い。また、声がいいのだ。彼女が夫の秘密(真相)をライアンから聞いた後、テーブルで泣き伏すカットでは、腕の産毛がはっきり映っている。これには感動する(『サイコ』でも彼女の腕の産毛が目立つカットがある)。

 LAのコンベンション(ただのパーティにしか見えない!)の後、登場する、メアリー・アスター(娼婦なのか?)が、出番は少ないが、いい役だ。さらに続いて、アスターが紹介する怪しい法律家のテイラー・ホームズ、殺しを請け負うベリー・クルーガーも怖さをよく出している。こういった良い脇役が、終盤になって繰り出されるのも本作の満足感につながっている。

#脇役を少し備忘で。

 前半の湖畔のシーンで出て来る湖の管理者はウィル・ライト。ライアンの恋人にフィリス・サクスター。LAのコンベンションの場面になぜか酔っぱらったガイ・ギビーがいる。

(評価:★4)

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