[コメント] ぼくのエリ 200歳の少女(2008/スウェーデン)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
「ぼくのエリ」、前評判どおり面白かった。 いじめられっ子の孤独な少年と吸血鬼の少女の物語なんだけど、 吸血鬼映画というよりは北欧映画だなぁという印象。
だってあんなことやこんなこと、そんなことまであっても。 音楽のせいか間のせいか、最初から最後までまったりとした静かな空気が崩れない。 これが北欧クオリティ…!
あと映画を見てるうちの半分は (まじで色白い…きめが細かい…なんて美肌…!) って思ってた気がする。
金髪に透き通るような白さの美肌だなんて、まじうらやましい。 生まれ変わる時はスウェーデン人になりたいよ! そんなことばっかり思ってた。 いや、あの肌は本気ですごいよ。美しい。 しかもあれで男の子ってんだから…ああ本当にうらやましい…
他に印象に残ったのは、後半のプールの場面だ。 あの無音の水中の場面。 映像として印象的だったというのもあるけれど。 そうなるだろうとは思ってたけど、そこまであからさまじゃない "ああやっぱり…"な見せ方が好きだった。
それから年配カップルの病院でのシーンも印象的だった。 親父の残した切手を売って…って語るところ。 何とも滑稽で、せつないシーンだと感じた。 感情移入するほどじゃない人々のシーンだったので、滑稽さもせつなさも過剰じゃなくて。 そのバランスもあってよかったのかな。
あのぼかしのシーンについては、ここで読んで驚くと共にすっきりした。 たしかにエリは作中で何度か「女の子じゃなくても?」と自分のことを口にしていた。 でもそれは、彼女が吸血鬼であるという事を少年は知らない。 そのことから「ただの女の子じゃなくて、吸血鬼でも?」という意味合いにも読み取れる。 ただあまりにも繰り返すので吸血鬼になると無性になるって設定でもあるの??って思ってたら…そういうことかー!
あとエリの庇護者について。
映画での描写だと彼はオスカーの未来の姿とも読み取れた。 エリへの執着、その眼差し、少年への嫉妬心。 それらから、彼の存在は 「オスカーと同様にエリへの恋情から行動を共にすることとなるが、 年老いて仕事ぶりも衰え、新たなる興味の対象が現れれば用無しとなる」 という風にも解釈できる。
しかし原作だと…彼は最近知り合ったただのペド野郎で。 彼女に血を提供してあれこれしたいという欲望から、彼女とともに行動。 エリ的には単なる下僕、オスカーとは全く異なる存在…という設定だって…?
たしかに長年やってきたにしては手際が悪いし、エリとの力関係も疑問ではあった。 でもそこまではあの描写じゃ読み取れんかったよ…。 手際が悪いのは年のせい、力関係はエリに飽きられたせいってことで勝手に納得してたわ。
でもこの点については映画での描写の方が好きだな。 彼についてはぼかしたままでいい。 エリの真意がどこにあるかははっきりと描かれない、その方が面白い。
初めての恋、初めて出会った心許せる人間。そして旅立つ二人…。
そういうロマンチックな終わりよりも。オスカーへはどのような感情を抱いているのか? どの程度打算は含まれているのか? それは観客の想像に任せてしまった方が、あの結末には合うと思うし好みだなー。
って思った。
でも原作を読むとまた気持ちが変わるかもしれない。気になって「モールス」買ってきたし。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (1 人) | [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。